Jun.19 2019 | category:薬膳
梅雨の養生と胃腸のケア
梅雨の養生と胃腸のケア
東洋医学では一年を四季だけでなく
その季節と季節の変わり目、梅雨の時期を五行の
『土』の時期と捉えます。
土、そのものは湿り気があり、養分を蓄え万物を成長させる土台。
人の体の中で五臓は『脾(ひ)』という働きが
成長の中心となる栄養・水を吸収し、気・血を作り
全身の水の流れを統率し体を支えていく土台となります。
この『脾』というのは東洋医学独特の臓腑、いわばシステム・働きであって
実像があるわけではないので西洋医学的な『臓器』を当てはめにくいのですが
働きとしては『腸』の吸収システムに当たると考えることができます。
つなり、東洋医学でいう『脾』という消化吸収の働きは消化の働きは『胃』と
吸収は『腸』によるもの、ということになります。
腸は東洋医学でも『小腸』・『大腸』は六腑に属しますが、
特に『栄養の吸収』という観点から見たときには五臓の『脾』が相当すると
考えることができます。
命を繋いでいくために必要な栄養を吸収し、それをエネルギー(気)や
栄養を含んだ水(血)を作り出す場となるのは『脾であり腸である』ということ
になります。
胃が弱いのか腸が弱いのか
「胃腸が弱くて・・・」という仰る方がいますが、詳しくは
胃が弱いのか、腸が弱いのかでは消化が弱いのか、吸収が弱いのか
という違いになってきます。
『胃』というのは食べたものを分解し、吸収しやすい状態にする場なので
胃が弱い、胃もたれを起こしやすいという方は消化しやすいものを
召し上がる、ということを心がけるようにします。
一方、腸が弱い、というのは吸収しにくい、つまり
栄養を受け取りにくい状態で気血を作り出しにくい状況になってしまいます。
また、腸では食べたものからの栄養を吸収しるだけでなく水も吸収しています。
しかし、腸は水っぽい状況が苦手です。
適度に湿っていないと便秘になってしまいますが、水が増えてしまうと
下痢をしてしまう。
大地のシステムと一緒です。地面が乾いてしまっては作物は芽を出してくれませんし、
水が溢れてしまっては根こそぎ流れてしまったり、腐ったりしてしまう。
腸の働きは『水』の量に影響されやすい、と言うことができます。
その『水』と言うのは体の中でたまると、たまった場所で気血の巡りが
悪くなり、また、冷えやすくなります。
腸にたまってしまうと腸が冷えてしまい、
下痢が一向に治らないと言うことになります。特に梅雨の時期や『土』
の時期というのは自然界の水が増え、脾の働きが弱くなりやすいため
体の中の水の流れ、排泄を促すようにしながら、脾の働きを
整えておく、ということが大切になります。
体の中にたまる水は病理産物を作りやすい
『水』が体の中で溜まったとき俗に言う『水滞』と言う方も
いますが、『痰飲(タンイン)』とも言います。
(このブログでは痰飲で書いていきます。)
痰飲は浮腫み、と言う初期の段階では食べ物や汗をかく、などで
比較的、改善しやすい状態です。が、それを放置しておくと
だんだん溜まっていた水が粘着してきて、流れが悪くなります。
スライムのような状態ですね。下半身ではセルライド、と言う
脂肪の塊のようなものができ、また静脈瘤などの瘀血が
生じているような浮腫んだ足、と言うのをイメージしていただくと
わかりやすいかと思います。
下半身のセルライドや静脈瘤は体の表面なのでわかりやすいですが
実際は内臓を含めて全身のいたるところに痰飲は生じます。
頭部にも生じてくると水が溜まったようなボワーンとした
耳鳴りや、鼻づまり、めまい、頭重感などが生じたりします。
また、その症状は天気が悪くなる前になると悪化する傾向があります。
また、胸、卵巣、などにも溜まるとやはり厄介な病理産物を
作り出してしまったり、関節にたまると関節の痛みやしびれなど
が生じてきます。腸に貯まれば下痢になり、胃に貯まれば吐き気・胃もたれ
につながる、と様々な体調不良の原因になりやすいのが水の滞りである
『痰飲』となります。
それだけでなく、痰飲はもともと『水』ですからタルミが出てきます。
浮腫みなのかタルミなのかわからない・・・と言うことが
生じてきます。これは体型だけでなく、顔のたるみにも
当てはまることですから高価な美容液を使うよりも
痰飲を作らない、と言うことを心がけたほうが美容にも
良い影響が出てきます。
胃腸が元気な方は肌艶良く、ハリもある、と言うことですね。
脾を元気にして『痰飲』を作り出さない
『脾』の調子が良いと食べたものからの栄養の吸収が良くなり
体にも余計な水が溜まりにくく、スッキリした状態になります。
浮腫みも生じにくく、お通じも快調、と言う理想的な状態です。
そして上記にもあるように、見た目にも肌ツヤが良かったり
張りがある。体も余計なタルミがないわけです。
どうしたらこの状態になるのか?
腸を冷やさない、生ものを食べない、食べ過ぎない、
油・甘味を控える、です。
シンプルです。
特に最も避けなければならないのは
『冷たい+油+甘い』の組み合わせ。
これは体に一番溜まりやすく、いろいろな病気の元となりやすい。
甘味といっても甘味料の甘味や果物の甘味になります。
穀物、特にコメなどの甘味は生活していく上でのエネルギー源としては
必要なものです。
穀類・芋類などの炭水化物はエネルギーとして必要なものですが
肉体を作り、肉体を維持していくために必要なものはタンパク質です。
嗜好品としての甘味をできるだけ減らす。
どうしてもの時は『冷たい+油』が加わらないようなものを食べると言うことです。
そして、腸の中の細菌が喜びそうな餌、食物繊維などを含んだ食材や
発酵食などを増やしてあげると腸そのものも元気になってきます。
梅雨の時期は脾の働きが低下しやすく、体の中に
痰飲ができやすい時期です。夏が来る前に胃や腸の働きを
整えて夏の暑さに負けないように整えておく大切な時期です☆
8月のカネマツ講座でも引き続きこの脾について説明しますので
ご興味のある方は是非ご参加ください。
今月のカネマツさんのお弁当は食べ応えがありました〜!!
・タケノコと梅かつおのご飯
・ひじきのマリネ(レモンの香りがとっても爽やか)
・巡りチャプチェ(紫蘇や山椒を少し加えて)
・さっぱり夏の黒酢煮(黒酢は血の巡りを改善してくれるます)
・じゃがいもともずくの味噌汁(1日1種類は海藻を食べることをお勧めします)
・長芋のおやき・梅味噌(もちもちこんがり。美味しいおやつ!)
参考記事:
・めまいについて
・デトックスと東洋医学
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